2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「サラリーマン」の大衆化(1)

今回は、「サラリーマン」はいつ、いかにして社会的表徴となったのか、ということを考えたいと思います。 第一に考えられるのは、1950年代です。1950年代、社会科学者の間で「大衆社会論」という議論が起こります。これはマルクス主義者的な問題意識からきた…

人生雑誌―戦後貧乏青年による知へのあこがれ

「働く青年」と教養の戦後史: 「人生雑誌」と読者のゆくえ (筑摩選書) 作者: 福間良明 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/02/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 1950年代において、貧困故に進学できなかった青年たちの鬱屈を表象…

1950年代~60年代におけるメディアの中のサラリーマン表象―『三等重役』と『ニッポン無責任時代』―

昭和30年代においては、サラリーマンは「新中間層」と呼ばれ大衆文化の担い手と見なされていました[i]。しかし、実際その数を統計から明らかにした研究によると、サラリーマン層は全労働者の10~15%程度で、「大衆」と呼べるほどマス化してはいませんでした…